BOCCO emo LTEモデル powerd by ネコリコ

注文する よくある質問

よくわかる
BOCCO emo LTEモデルのすべて

vol.10 医療分野「せん妄予防」への活用
エモちゃんの活用事例

エモちゃんの活用事例 医療分野「せん妄予防」への活用

合同会社ネコリコの高津です。「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ(以下、emo)」はサービス開始から5年目となりました。長きに渡りご好評をいただいており、誠にありがとうございます。

発売当初から変わらず「離れて暮らすご家族の見守りができるコミュニケーションロボット」として多くの皆さまにご愛顧いただいていており、もっぱら「家族の見守り」でご利用いただいております。ただ近年は病院や教育機関の方々よりお声掛けいただき、それ以外の利活用にもチャレンジしています。

その中より、今回は筑波大学附属病院 日立社会連携教育研究センターの今井公文先生のもとで実施された実証研究「emoを活用した術後せん妄予防の効果」についてご紹介します。

そもそも「術後せん妄」とは?

皆様は「せん妄」をご存知でしょうか。「言葉だけは聞いたことがある」「家族が入院時になったことがある」など人によって知識に差がある事柄と思います。かくいう私も今回今井先生の研究に触れるまでは全く知らない言葉でした。
先生から伺った内容をまとめてみました。

せん妄とは、一見起きているようでも意識レベルが低下した状態です。場所や時間を理解する能力が低下し、幻覚・妄想などにとらわれて興奮や錯乱がみられたり、逆に活動性が低下するなど、情緒や気分の異常が突然引き起こされる病態をいいます。特に高齢者が全身麻酔で手術を行った場合、1~3割の確率で手術後にせん妄を発症することがあり、これを「術後せん妄」といいます。術後せん妄は通常は次第に落ち着きますが、発症すると、点滴を抜いたり暴れたりするなどして、ケアが困難になることがあり、術後の大きな問題となってきます。

いかがでしょうか。高齢の方が全身麻酔で手術を行うと1〜3割の方が術後せん妄となるなんてご存知でしたか。その発症率は、大変高いことがわかります。このような数字は広くは知られていないと思われ、ネコリコ職員一同大変驚くものでした。
「術後せん妄」が起きると、患者さんの行動によって、患者さんや医療従事者が危険な目にあうこともあり、医療の現場では大変な問題になっているのだそうです。これは、医療従事者の方や患者さんご本人だけでなく、見守るご家族の方も大変困難な状況に立たされることが想像されます。これは大きな課題だと感じました。

「術後せん妄」の予防対策にemoを活用

「術後せん妄」を発症した患者さんに対しては、従来は抗精神病薬や睡眠薬等で症状を抑えることが試みられたようです。ですが、薬物等で無理に症状を抑えることは身体に負荷がかかることもあり、症状が発生してから薬物を使用して制御を試みる従来の方法ではなく、症状の発生を回避する、予防法の確立が望まれているとのことです。確かに薬で症状を抑えることは、人によって効果が異なったり、使用に限度があったりと、完全な方法でないことは医療従事者ではない私にも想像がつきます。個人的にも自身の身に起きることを考えると、発症前に打つ手があるのであればそれが嬉しいなと思いました。

このような背景のもと、今回の今井先生の研究では、従来、看護師等の医療関係者や家族が行なっていた声かけをemoに置き換えても一定程度の「術後せん妄」発症低減の効果があるか、を検証されました。
emoが術後の患者さんに繰り返し「時間」や「場所」を知らせ、また、emoとのおしゃべりによって患者さんの興味や関心が外に広がるように促すことが、emoのリマインダー機能とおしゃべり機能を活用して実現されました。毎日8回、決まった時間にemoが患者さんに対して時刻や日立総合病院にいることを伝え、さらに患者さんの気が向いた時にemoとおしゃべりすることで、なんとemoに声かけされた患者さんの術後せん妄の発症率は、emoをそばに置かなかった患者さんに比べて低く抑えられることが確認できたそうです。

ベッドサイドのemo

emoは「話すこと 見守ることが とくい」なコミュニケーションロボットです。その能力がこういった場面でも生かせることを知ったことは、サービスに携わる1人として、とても嬉しい気持ちになりました。

今井先生からのコメント

今井公文先生

今回の研究では、衛生的でコンパクト、かわいい外見で患者さんに癒しを与えるコミュニケーションロボットのemoを採用しました。研究では、emoのリマインダー機能とおしゃべり機能を活用することで、高齢者における術後せん妄の発生を予防できることが確認できました。チーム医療の頼もしい仲間として、emoは活躍できたと思っています。今後は、さらに多くの患者さんで効果を検証し、せん妄評価の精度を向上させ、有効な予防策の一つとして確立する必要があると考えます。これからも研究を通じて、医療技術の進歩、患者さん中心の医療の実現に努めてまいります。

実証研究結果の詳細について詳しく知りたい方は、下記の論文をご覧ください。
Effect of a communication robot in the prevention of postoperative delirium in older persons: A randomized controlled trial (2025-07-29)

おわりに

今回は、「術後せん妄」の予防にemoの活用を試みられた研究についてご紹介しました。今回の研究はまだまだ活用に向けスタートラインを確認するような位置付けだったと思います。ただその先に広がる未来については明るいものを感じさせる事例だったと感じています。 この他にも、ネコリコでは様々な領域でのemoの活用に取り組んでいます。また機会がありましたらご紹介していきたいと思います。


<筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センターについて>

2012年4月に日立総合病院に開設された筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センターは、日立総合病院と一丸となって地域医療に取り組むとともに、大学教員として県北医療の課題、高齢化する住民健康の向上、日立製作所の医療事業への協力などの研究を行っています。また、筑波大学の医療・教育資源を日立総合病院ならびに地域の医療職員に提供してのキャリア形成支援活動、学生や研修医の教育活動を通じて次世代に継続する地域医療資質向上を図っています。
筑波大学附属病院日立社会連携教育センター

日立総合病院