独居ケアアシスタント

独居ケアアシスタント導入事例

高齢者大国・日本
ますます上昇する
高齢化率を見据え
今、できることとは?

瀬戸市様
インタビュー

日本の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は、2018年の時点で28.1%(内閣府HPより)に上り、今後、高齢者大国への一途をたどることは避けられない状況です。
愛知県瀬戸市にも高齢化の波は押し寄せており、2020年には高齢化率が29.7%に達し、半年ごとの集計でもますます高齢化率は上昇。また近年は、ひとり暮らし高齢者増加の問題にも直面しています。そんな瀬戸市は、2020年10月から独居ケアアシスタントを活用した「もーやっこサポート」を全国で初めて導入しました。瀬戸市役所健康福祉部 高齢者福祉課 地域支援係の伊藤里穂様に、導入の経緯や効果についてお聞きしました。
課題
  • 次世代の高齢者見守りシステムの導入が急務
  • 介護福祉に関わる人の人材不足、負担増
導入効果
  • コールセンター対応により、見守られる高齢者と見守るご家族・自治体も安心
  • 居住支援事業に活用可能
ポイント
  • 充電やメンテナンスの必要がなく、導入のハードルが低い
  • 将来的に冷蔵庫の開閉データを健康状態の把握に活用
現在の具体的な取り組みや活動をお聞かせください。
伊藤里穂様(以下、伊藤様)「瀬戸市だけではなく全国的に、高齢者福祉における介護の分野では、3年ごとに計画を見直しており、瀬戸市も今年から見直された計画のもとで介護分野に取り組んでいます。瀬戸市としては『高齢者が生きがいを持って、安心して暮らせる社会の実現に向けて、地域包括ケアシステムの進化・推進に取り組む』という大きなテーマを掲げています。“もーやっこ”(=みんなで一緒に)といったイメージを込め、『もーやっこシルバーケアシステム』と銘打ち、具体的には、高齢者の方が自立できるような支援、介護予防、重度化防止などに取り組んでいます。また、介護サービス等の充実、在宅医療の支援、住宅の確保をできるような仕組みなども重点的に行っています。」
瀬戸市役所健康福祉部 高齢者福祉課 地域支援係 管理栄養士 伊藤 里穂様
瀬戸市役所健康福祉部 高齢者福祉課 地域支援係
管理栄養士 伊藤 里穂様

時代の流れを感じたからこそ
改めて実感した
「もーやっこサポート」の必要性

高齢者見守りサービスとして広く普及している「緊急通報システム」を導入しているとお聞きしています。サービス開始時と比較して、現在の利用状況はどう変化しているでしょうか?
伊藤様「『緊急通報システム』とは、本人が助けが欲しい時にボタンを押すと消防に繋がる固定電話に基づいたシステムです。たしかに一時期までは設置数や問い合わせ数も伸びてはいたのですが、近年は、そもそも固定電話自体がないなど、時代や家庭環境の変化が顕著に現れており、下降傾向にあります。このまま、このシステムに頼っているのは時代と合っていないのではないかという思いはありました。」
「もーやっこサポート」を初めて知った際の印象はいかがでしたか?
伊藤様「『アナログなものから新しいものへ』という、私どもの意識の変化もあった時期でしたので、時代に即したピッタリのシステムだなというのが第一印象でしたね。また、2020年の4~5月に緊急事態宣言が発令され、高齢者の方も離れて暮らす親族となかなか会えない状況でしたので、『もーやっこサポート』のような新たな見守りシステムは高齢者、家族の両者が安心できるサービスだなと改めて感じました。というのも、瀬戸市は高齢者だけで住んでらっしゃる世帯が多く、2万6000世帯にも及びます。そのなかの1万世帯弱が独り暮らしで、独居世帯の安否確認を、どのようにすれば円滑に進められるのかというのはずっと課題でした。ケアマネジャーや高齢者をサポートする地域包括支援センターの方々の安否確認作業の負担を軽減する意味でも、『もーやっこサポート』への期待値は高かったです。」

みまもりセンサーを冷蔵庫に設置した例(側面の目立たない場所へ設置することもできます)
みまもりセンサーを冷蔵庫に設置した例
(側面の目立たない場所へ設置することもできます)
2020年10月の本格導入の前に実証試験が行われました。
高齢者の方やご家族の方の反響はいかがでしたか?
伊藤様「実証試験に協力いただいた高齢者からは『監視されているんじゃないか?』と、プライバシーの面で心配する声が挙がっていました。もちろん『もーやっこサポート』にカメラやスピーカーなどは付いていませんので、そのような心配はありません。しかし、本格的な運用に向けて、このあたりの誤解をきっちり説明し、理解してもらわないといけないということは痛感しました。また、ご家族の方からは『毎日、様子を見に行くのは大変なので、便利だ』という声はいただいていました。本格導入の前に課題が見えたので、実証試験はやって良かったと改めて思っています。」
実際にサービスの提供が始まって以降、設置や電話対応のサポートを担っているシーモス様との連携はいかがでしょう?
伊藤様「すごく丁寧に対応していただいています。高齢者の方へもきめ細かい説明をしていただいており、頼もしいですね。利用者の方から信頼を得ていますし、本当に有り難く思っています。また、『●●さんは最近、冷蔵庫の開閉が少なく、異常通知が多くなっているので、ケアマネジャーとお話された方がいいかもしれません』といったコミュニケーションも密に行えていますので、助かっています。」
支援に力を入れていらっしゃる“高齢者の自立”に関して、「もーやっこサポート」を活用した事例はありますか?
伊藤様「1990年から活動する『NPO法人 瀬戸地域福祉を考える会 まごころ』様は、2018年に居住支援法人としての認証を受けられ、⾼齢者の住居が取り壊しになった場合等に、不動産会社と交渉して住居を確保・斡旋する業務を⾏っています。不動産会社にとってひとり暮らしの高齢者へ住居を貸し出す際に"孤独死"への懸念がありますが、その懸念に対してのフォローとして、『もーやっこサポート』を推奨していただいています。ひとり暮らしの高齢者が万が一、体調不良になったとしても素早い対応が可能ですし、仮に近隣に身内や親類がいない場合も、緊急連絡先にまごころ様が入っていただき、自宅に訪問するなどの対処をしていただけます。これにより孤独死防⽌につながることから、安⼼感をもって物件を貸し出すことが可能になっています。」

もーやっこサポートとは

高齢者が元気に自宅で暮らすことができる仕組みを
「もーやっこサポート」を活用し実現

「もーやっこサポート」を推奨できる具体的な理由についてお聞かせください。
伊藤様「瀬戸市は『もーやっこサポート』を積極的に導入することを決めました。実際に使用している高齢者やご家族からも高評価をいただいており、現在のところ機器の不具合や大きなシステムエラーなどもありません。また、『異常』と検知され安否確認で電話した際の、ちょっとした会話やコミュニケーションがうれしいと喜ばれている方もいました。『緊急通報システム』の場合は、調子が悪い時に高齢者ご自身でボタンを押さなければならず、果たして押せるだけの力が残っているのか…といった不安の声もありましたが、『もーやっこサポート』は自動で検知するためそのような心配もなく、ユーザーにとっても、我々にとっても安心につながっています。」
瀬戸市以外の自治体が導入検討される際のアドバイスをお願いします。
伊藤様「他の自治体でも緊急通報システムはほとんど導入していると思いますが、瀬戸市と同じく、携帯電話の普及や固定電話の減少など、状況は同じだと思います。一部例外はありますが、冷蔵庫はどの家庭にもありますので、導入ハードルが低いことは大きなメリットですよね。また、コールセンターによる安否確認ができることで、近所に家族や親類がいなくても問題がないということも推奨できる理由です。月額の利用料金もご家族からの支払いが可能で、経済面でも利用者へ勧めやすいと思っています。ハード面でも、『もーやっこサポート』はメンテナンスの必要がなく、長く使っていただけるというのも魅力だと思います。介護の分野は人の力が必要不可欠です。『もーやっこサポート』を導入することで、スタッフの数を最小限に抑えつつ、かつ、スタッフ一人ひとりの負担も軽減されるとなれば、事業としてはやるべきという判断になるのは必然ですし、事業計画を立てる際のアピールポイントにもなると思います。」
新規事業として「もーやっこサポート」を立ちあげる際、予算面でのハードルはありましたか?
伊藤様「瀬戸市に関していうと、国からの保険者機能強化推進交付金を使い事業化しました。市税を使った新規事業は、特にコロナ禍の今は難しいのかなという気はしています。私どもは、瀬戸市の介護事業に対して評価いただいて保険者機能強化推進交付金をいただき、新たなことにチャレンジし…ということを繰り返しています。市税を財源とせず、また、これまで市税でまかなっていた緊急通報システムの新規申込を停止し市税の拡大を抑えたことで、予算の面での反対はありませんでした。おそらく、各自治体は、やはり予算の面でネックになってくるところも多いと思います。利用者は月額980円ですが、自治体の方で設置費用などを負担していますので、これから導入を検討される自治体は、国からの保険者機能強化推進交付金を上手に利用しつつ、『もーやっこサポート』を推し進めてほしいですね。」
「瀬戸旭もーやっこネットワーク」を基盤とした地域情報連携
今後「もーやっこサポート」に期待されることはありますか?
伊藤様「現在は、シーモス様、瀬戸市の高齢者福祉課、地域包括支援センターが『もーやっこサポート』から得られる情報を共有しているのですが、今後は『もーやっこネットワーク』のサービスである、医療・介護・福祉などの在宅医療に関わる情報を、多職種間でネットワークを介して連携を図る目的で立ち上げた電子@連絡帳を活用してドクターやケアマネジャーともうまく連携していきたいと考えています。冷蔵庫の開閉の状況から、使用する高齢者の健康状態も見えてくる場合があります。例えば、夜中に開閉が多いと、よく眠れていないのではないか、認知症の疑いがあるのではないか…そういった細やかな情報まで共有できれば、高齢者が介護サービスを受ける際や、ドクターが薬を処方する際の種類や量などにも役立つと思うのです。また、私の個人的な想いを申しますと、最近は特に、歳を重ねてもなるべく家で余暇を過ごしたい、自分の子供には迷惑をかけたくないといった高齢者の方が本当に多いんです。たとえ独りでも、元気にご自宅で暮らすことができる仕組みを『もーやっこサポート』を上手に活用しながら、市としても、個人的にも実現させていきたいと思っています。」

瀬戸市

瀬戸市
愛知県の尾張東部に位置。市内に点在する鉱山では、陶磁器・ガラスの原料となる粘土・珪砂が産出されることから、古くから日本有数の陶磁器である「瀬戸焼」の生産地として知られています。高齢化率に関しては、国・県の平均を上回っており、今後さらに上昇することが懸念されています。2020年10月から「もーやっこサポート」を導入。高齢化問題についての関心が高まっている他自治体からも、その効果や今後の動きに注目が集まっています。 Webサイトhttps://iimonsetomon.jp/

サービス事業者
「シーモス」様の声

時代の流れとともにニーズが高まる“見守り型システム”

『もーやっこサポート』を全国でいち早く導入している瀬戸市の高齢化率は30%ほどだと聞いていますが、『緊急通報システム』や『もーやっこサポート』のコールセンターがある徳島県三好市の高齢化率は45%とさらに高い状態です。我々もこの事態に危機感を抱き続けており、既存のシステムに変わる新たな“見守り型”のサービスができないかと検討を重ねてきました。

我々はこれまでに『緊急通報システム』『人感センサー』といったサービスを提供してきましたが、冷蔵庫の開閉で高齢者の安否確認ができる『もーやっこサポート』は非常に画期的なものだと実感しています。

『緊急通報システム』は自らがボタンを押してSOSを発信するシステムですが、不調の時にボタンが押せないことがあったり、これと組み合わせて使用する人感センサーはまだまだ普及していない現状があります。その点、“見守り型”の『もーやっこサポート』は、冷蔵庫の開閉がない場合は、午前8時と午後2時に異常メールを受信し、コールセンターからすぐに本人に『今朝はまだ冷蔵庫の扉が開けられておりませんが大丈夫ですか?』といった安否確認のお電話を行います。そこでお電話に出られないようでしたら、緊急連絡先になっている親族や協力者、さらには市役所へ連絡とサポート体制が厚く、仮に自宅のどこで倒れられていたとしても早期の発見が期待できるのです。

このような画期的なサービスが『緊急通報システム』よりも安価で提供できることに誇りを持っていますし、時代の流れとともにこの“見守り型”のシステムのニーズも高まっていると感じています。

最先端の“見守るシステム”の導入は広く推奨するべきだと思っていますが、もちろんそこには“見守る人間”も必要不可欠です。今後も、自治体や地域の支援者とのさらなる協力のもとで、『もーやっこサポート』を高齢者に安心して使っていただける体制作りに邁進したいと考えています。

異常メールを受信した際には、専任のオペレーターが安否確認の電話を行います。

株式会社シーモス

株式会社シーモス
1989年10月20日設立。緊急通報システムの販売及び工事・保守、緊急通報システムの受信管理業務などを中心に、主に東海地区、四国・中国地区の地方自治体との連携を進めています。「緊急通報システム」及び「もーやっこサポート」の異常通知を受信する徳島県の緊急通報管理センターには25名のスタッフが在籍しています。設置者とオペレーターとの信頼関係を築くことが一番大切であるとの考えから、「時代の最先端技術とあたたかい心のこもった対応」をモットーに日々業務にあたっています。 【お問い合わせ】
電話: 0883-72-3688
E-Mail: info@cmos.co.jp

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